テレワークでの1x1(ワンオンワン)の対話、「テレ1x1」でテレワーク社員のケアをすれば、精神面での様々な課題を解決できるのですが、それをうまくやるのは、ちょっとしたチャレンジです。訓練によってマインドセットとスキルを身につける必要があります。

テレワークの認識が間違っていたり、監視したり、放置したり、在宅と出社を恣意的に選別したり、そこまでいかなくても、テレワーク社員の不安や困惑に対して手を打たずにいたりするケースが実際にはあるようです。

① テレワークは今回だけの緊急措置
② 解除されれば従来に戻るはず、テレワーク社員はその間自宅待機
③ さぼらない範囲で適宜仕事をしていればよい
④ プロジェクトはメンバーが集まらないのでしばらく棚上げする
⑤ 在宅でプロジェクトを進めようとしたら、解除されてからと言われた
⑥ 緊急事態なのだから、いろんなことが滞留しても仕方がない
⑦ まるで在宅勤務ではなく自宅謹慎
⑧ テレワーク社員にそれぞれその日の仕事を割り振るのが面倒だ
⑨ 具体的な指示がなく、何をするかは自分で考えろと言われている
⑩ 指示がないので、啓発本を読んでもよいかと聞いたらNOと言われた
⑪ 常にカメラをONにしろといわれ監視をされているようだ
⑫ 毎日やったことを記録した日報の提出を要求されている
⑬ コミュニケーションはメールのやり取りだけでレスポンスも悪く
⑭ テレワークが始まってから数週間たっても上司は一度も電話してこない
⑮ 出社をしている社員だけで事が進んでいるようだ
⑯ 煙たい部下だけ在宅勤務させて、上司とお気に入りの部下だけ出社
⑰ 電話が嫌いなので、大事な話があるから出社しろといわれた
⑱ 雑談やジョーク、ひょうきんな同僚のおかしな言動が聞きたくなる
⑲ 在宅勤務は慣れると単調に感じる、メリハリがなく、緊張感も薄い

今回のいきなりテレワークは、緊急事態の回避措置という認識はどうなのでしょう。2,3日危ないから出社せず自宅でできることをしろということなら非常手段ということもありかもしれませんが、数週間に及んだらもうこれは日常でしょう。

プロジェクトを止めたり、大事な業務目標へのプロセスを遅らせたりして大丈夫なのでしょうか。こういう状況下でも、多少の停滞や遅れは許容できますが、流れとしては生産性を維持すること、できれば生産性の改善を止めないことが必要です。

それには、まずはリモート社員の感じるマイナスの部分を払拭することです。それには上司によるケアが一番必要です。前回の「テレワーク社員には、今まで以上に対話でケアを」で掲げた12の項目を「テレ1x1」で具体的に対話の中に、含めていくことです。

テレ1x1は、定期的に、定型フォーム(1x1ツールや1x1プロセス)に従って実施するものです。

定期的というのは、テレワーク社員各々と、1対1の対話の時間を設定すること。 通常1回30分で毎週決まった曜日と時間に設定します。直属の部下とは毎週、そのまた部下とは隔週あるいは毎月といった具合です。もちろん上司とその上の上司との間も同じです。

こうやって、曜日と時間を決めておけば、日程に迷ったりせず、そこを固定化しておけばその他のスケジュールも組みやすくなります。

しかし、毎週30分も1対1で何を話せよいのかと、特に口下手な上司や部下はそれだけでストレスになりかねませんし、人によって中身が変わってしまったのでは、対話の中身や効果、つまり対話に質に差が出てしまいます。

そこで「1x1キャンバス」というツールを使って、対話の最初の部分から、テーマの選定、意見交換、次の行動の共有、対話のクローズまで、だれでも無駄なくできるようにします。

上司にあたる管理職の方々には、トレーニングが必要ですが、慣れれば苦ではなくなるでしょうし、対話によって改善されるものが少なくないはずです。

(つづく)