ワンオンワンは普通 “1 on 1” と表記されていることが多いです。”1 x 1″ だとワンバイワンと思われてしまったり、「ワンオンワン」です、と読み方をいちいち説明しなければいけない不都合があります。しかし日本1x1協会ではあえて”1 x 1″としました。
その理由は(ちょっと屁理屈、こじつけですが);
“1 on 1” では、一人の上に人が乗っかるイメージなので、上司と部下の上下関係の前提が拭えません。
“1 vs 1″ あるいは ”1 対 1” と表記してしまうと、対峙するとか対決する、闘うイメージがあって、サポートするという意味から遠ざかってしまいます。
“1 to 1” と呼んでいる企業もあるようですが、どうも一方通行のイメージが強くなり、上司が部下に向かって話す光景が目に浮かびます。逆に部下が話すことを上司がただ傾聴するというものでもありません。
”1 + 1″ と表記することも考えましたが、ワンオンワンをしても1+1=2の物理的結果が生まれるわけではないので、足すとか、ただ重ねるというよりも、融合とかシナジーといった化学反応への期待が持てません。
“1 x 1″ 表記すれば、上下でもなく、一方通行でもなく、対決でもなく、上司と部下の思いや能力がかけ合わされて結果が出るイメージがあるので、一番的確な表記ではないかと思っています。
しかし、
1 x 1 = 1 ですから、結果はどうやっても “1” 以上にならないという事実があって、これはあまり良いイメージではありません。
ということで、考えたのは、ここでいう “1 x 1” の “1” は、ひとりの上司と部下ということですから、正確には上司を “a” 、部下を “b” とすれば “1a X 1b” となるはずです。この “a” と “b” は変数ですから、そのワンオンワンにおける上司や部下の性格や能力、状態によって値は変わるので、1a X 1b = 1 だけではないはずになります。
基準の(普通の)上司を “1” 、基準の(普通の)部下を “1” とすれば、1 x 1 = 1。普通の上司が普通の部下とワンオンワンをすることで、普通の結果がもたらされるということです。
しかし、上司も部下も様々。 良い面も悪い面も相殺しあって基準を下回ったり、上回ったりします。基準以下の上司がワンオンワンをしても、たとえ部下が基準以上でも、その良さを引き出せず結果が “1” に達しない場合があるでしょう、部下も基準以下なら結果は “1”未満です。
a=0.9 b=0.9 1a X 1b = 0.81
a=0.9 b=1.1 1a X 1b = 0.99
a=0.9 b=1.2 1a X 1b = 1.08
上司が基準以上だと、基準以下の部下とのワンオンワンでも、 “1” の基準に近づけることができます。部下が基準以上なら、良いところを引き出して、大きく基準を超える結果を出せるはずです。
a=1.1 b=0.9 1a X 1b = 0.99
a=1.1 b=1.1 1a X 1b = 1.21
a=1.1 b=1.2 1a X 1b = 1.32
「基準」って何? と思われるでしょうが、今の状態を仮に基準 “1” として、例えばワンオンワンのスキルを活用して、その部分だけでもプラスにして “1.1” でも “1.2” にでもなれば、結果は今までより20%、30%改善される可能性があるということです。
当協会では、上司である管理職のみなさんに、1x1のスキルを提供することで、基準に+0.1、+0.2になるよう願っています。”1″のままでは、部下の値はそのままで、なんの効果ももたらしません。